「ハナに立つとストンとペースを落とす人もいるけど、ユタカさんの場合は違う。逃げたときには、速くも遅くもない、絶妙な運び方をしますね」と言われている武豊。事実武豊に乗り替わって覚醒した競走馬は有名どころでもサイレンススズカにスマートファルコン。この2頭は他の馬がついていったら潰れるハイペースで逃げるため、上述のコメントは当てはまらなかもしれないが(笑)。
そういうわけで武豊が強い逃げ馬に騎乗すると注目を集めてしまうのだが、現在最も注目を集めているの逃げ馬はエイシンヒカリだと思う。そのエイシンヒカリが出走する毎日王冠を非常に楽しみにしていたのだが今日の武豊の騎乗結果は、
武豊騎乗結果(11日)
10月11日(日)東京
3R△アポロノホウリン(2歳未勝利 芝1400) 4人11着
5R△フサリア(2歳新馬 芝2000) 4人11着
9R▲サウンドバーニング(六社特別 芝1600) 7人13着
11R△エイシンヒカリ(毎日王冠 芝1800) 1人1着
今週最大の注目レースの毎日王冠。昨年の皐月賞馬イスラボニータ、天皇賞秋勝ち馬スピルバーグを始め、ディサイファ、アンビシャス、ヴァンセンヌといったようにかなりの豪華メンバー。
エイシンヒカリはここまで8戦7勝とはいえ重賞勝ちはG3のエプソムCのみ。相手関係が一気に強化される今回正直厳しいのではないかと思っていた。レース展開としては武豊が、
「1回しか負けていないからね。イレ込みや折り合いが難しい馬だけど、逆にどんなレースをしてくれるか楽しみ。右にもたれるけどひどくはないよ。下手に抑えるより、馬任せで行った方がいいのかも」
(日刊スポーツ極うまプレミアム)
とコメントしていたので逃げると思っていたし、他にハナを主張するような馬もいないので今回もエプソムCのような展開になると思っていた。
とはいえ今回はエプソムCのように上手くいかないだろうし、惨敗する可能性の方が高いと思っていただけにパドックも気楽に見ていたのだが、ファンファーレが鳴りいざエイシンヒカリがゲートインする直前になると凄く緊張が高まってきた。
今回毎日王冠の馬券は買っていなかったので、馬券を購入しないレースでここまで緊張したのはディープインパクト以来かも知れない。それ程エイシンヒカリに注目していたのか、と自分でも驚いた(笑)。
そしてその緊張感の中ゲートが開くと、エイシンヒカリが抜群のスタートですぐに先頭に躍り出る。1000m通過タイムが59秒9と比較的楽なペースで逃げる形となったが、後続を引き付けての形なだけに安心はできなかった。
そして直線向いてエイシンヒカリは後続を引き離しにかかるが、イスラボニータが鋭く伸びてきて、ここで「交わされるか。。。」と一瞬思ったが、エプソムCで見せた粘り腰をこの毎日王冠でも披露し、ゴール直前にはむしろイスラボニータを突き放し、毎日王冠を制覇。これでエイシンヒカリは9戦8勝で天皇賞秋の優先出走権を獲得。キズナの引退により、天皇賞秋の騎乗馬がなく見学も覚悟していたが、実力で天皇賞秋の出走権を勝ち取れて本当に嬉しい勝利だと思う。
それにしてもエイシンヒカリにはエプソムCでの渋とさにも驚いたが、相手関係が強化された今回でも同じように渋とさを見せ、見た目以上に強い勝ち方のような気がする。サイレンススズカというよりダイワスカーレットタイプだが、エイシンヒカリはダイワスカーレット以来の強い逃げ馬かもしれない。ただレース後武豊は、
「いい感じで走ってくれました。今までのメンバーとは違うのでどうかなと思いましたが、馬の状態もよく、スタートも上手に出てくれました。道中かかるかと思いましたが、折り合いもつきました。今日もイレ込みがきつく、成長はあまり感じられませんでしたが、レースではまっすぐ走りましたし、力はつけています。天皇賞(秋)は距離がいちばん問題でしょうし、楽なレースはできないと思います。条件的にきついので、もう一段階強くなっていかないといけませんね。今日は次につながる勝利だと思います」(競馬実況web)
と辛口なコメント。武豊はエイシンヒカリの対して以前から厳しいコメントをすることが多いが、それ程期待している表れだと思う。エプソムCの週に更新された武豊オフィシャルサイトの日記では、
「今週のお楽しみは、エプソムカップのエイシンヒカリです。前走(都大路S)初めて乗せてもらいましたが、そのポテンシャルの高さは「やっぱりね」という感じでした。」(武豊オフィシャルサイト)
この「やっぱりね」というような表現は、武豊が能力を感じた際の表現によく使われる言葉。確かに本番の天皇賞秋ではマークも厳しくなり、今回のような楽逃げはできないだろうし、条件的にも厳しくなると思うが、ダイワスカーレットのような驚異的な粘りで天皇賞秋制覇を期待したいと思う。ダイワスカーレットは勝っていないが(笑)。
タイプ的にはダイワスカーレットだが、毎日王冠での勝利も天皇賞秋もサイレンススズカと同日。サイレンススズカの夢の続きをエイシンヒカリで見たいと思う。
武豊騎乗馬(12日)
10月12日(月)京都
2R▲フライングレディ(2歳未勝利【牝】 芝1600)須貝(栗)
8R○ネオヴァシュラン(3歳上500万下 ダ1800)須貝(栗)
9R◎スーサンジョイ(円山特別 ダ1400)岩元(栗)
11R△ラキシス(京都大賞典 芝2400)角居(栗)
12R▲ゴーントレット(3歳上500万下 ダ1400)角田(栗)
明日も騎乗数は少なめだが、そこそこ期待できそうな騎乗馬は揃っていると思うが、抜けている馬はいないし、他に強い馬がいるレースが多いので強気にはなれないと思う。京都大賞典のラキシスを除いて武豊の騎乗馬を見てみると、
まずはフライングレディ(牝2 ディープインパクト×ピンクカメオ 母父フレンチデピュティ)。新馬戦はダンスインザムードのカイザーバルに突き放されたが、良く伸びて2着。けれど今回はシンシアズブレス、ショウナンマシェリ等相手が揃っているので何とも言えない。
ネオヴァシュランは逆に相手関係には恵まれたと思うがどうも信用ができない(笑)。
一番チャンスがありそうなのはスーサンジョイ。昇級戦の前走の西日本スポーツ杯のレースレベルも悪くなく勝ち負けだと思うのだが、ダイリュウキセキが怖い(笑)。
ということで騎乗馬は数こそ少ない割に一見揃っていると思えるが、未勝利も覚悟した方がいいような気がしないでもない(笑)。かなり弱気になっているが、毎日王冠のエイシンヒカリに続きラキシスで京都大賞典さえ勝てればもはや言うことはないと思う。
とはいえ京都大賞典は頭数こそ少なかれ、ラブリーデイ、サウンズオブアース、カレンミロテップ、ワンアンドオンリー、レコンダイド。そして2年連続日経新春杯を好走しているフーラブライドと何が勝ってもおかしくないレースのような気が(笑)。
ラキシスは武豊が騎乗することになるとは予想しなかっただけに、武豊を抜きにしてラキシスの今までの印象ではキズナを突き放した大阪杯は特殊な馬場。大阪杯を抜きにして考えると2400は長い気がするし、牡馬の一線級相手には少し足りないと思っていた。宝塚記念も札幌記念も人気にはなっていたが正直厳しいと思っていたし、今回も冷静にラキシスを考えると馬券になる可能性はあるが、飛ぶ可能性の方が高いと思えてしまう。
けれどエイシンヒカリも正直相手関係考えて厳しいと思っていただけに、ラキシスだけでなく、明日の武豊の騎乗馬の見立てが全て外れてる可能性が高いし、エイシンヒカリでの好騎乗をそのままに明日はマルチ勝利を期待したいと思うし、武豊もラキシスには一週前追いきりに騎乗し、
「先週初めて乗ったけど、すごくいい動きだった。GIホースだし、楽しみだね」
(サンスポ競馬予想王)
と言っていただけに、ラキシスを今まで過小評価していたと実感する結果になって欲しいと思う。
武豊騎乗予定
武豊騎乗予定 | ||||
---|---|---|---|---|
10月 | 17日(土) | 京都 | マキシマムドパリ | 堀川特別 |
18日(日) | 京都 | トーセンビクトリー | 秋華賞 芝2000 | |
レントラー | 鳴海特別 | |||
ピッツバーグ | 新馬 | |||
サンレーン | 藤森S | |||
アンシエルワープ | もみじS | |||
24日(土) | 京都 | フェリーチェレガロ | 古都S | |
31日(土) | 京都 | エスティタート | アルテミスS | |
11月 | 1日(日) | 東京 | エイシンヒカリ | 天皇賞秋 芝2000 |
ピオネロ | 紅葉S | |||
3日(火) | 大井 | コパノリッキー | JBCクラシック ダ2000 | |
14日(土) | 京都 | エアスピネル | デイリー杯2歳S | |
21日(土) | 京都 | スマートシャレード | もみじS | |
22日(日) | 京都 | ラニ | 2歳未勝利 | |
29日(日) | 東京 | ジャパンカップ 芝2400 | ||
12月 | 6日(日) | 中京 | コパノリッキー | チャンピオンズC ダ1800 |
27日(日) | 中山 | 有馬記念 芝2500 |
エイシンヒカリで毎日王冠に勝ったことにより、武豊の天皇賞秋の騎乗予定馬がエイシンヒカリに。キズナの屈腱炎は残念で仕方ないけれど、無事種牡馬になることができたし、エイシンヒカリの天皇賞秋で夢を見せてほしいと思う。